「たばこをやめたいけれど、何度挑戦しても続かない」
「禁煙外来で使っていた飲み薬がなくなって困っていた」
「貼り薬よりも飲み薬のほうが自分には合いそう」
このように感じている方は多いのではないでしょうか。禁煙は“気合い”だけで乗り切るのが難しいことも多く、特に長年喫煙している方ほど、ニコチン依存の影響で自力だけではうまくいかないことがあります。厚生労働省の禁煙治療では、喫煙を単なる習慣ではなく「ニコチン依存症」という病気としてとらえ、一定の条件を満たせば保険診療で治療を受けることができます。標準的な禁煙治療は12週間で5回の受診を基本として行われます。
今回は札幌市西区のグッドライフクリニック西町南より、「禁煙治療で使える飲み薬『チャンピックス』が再開!」をテーマにお届けします。
チャンピックスとはどのような薬か
チャンピックスの一般名は「バレニクリン酒石酸塩」で、禁煙補助薬として使われる処方薬です。効能・効果は「ニコチン依存症の喫煙者に対する禁煙の補助」とされており、ニコチン受容体に部分的に作用することで、たばこを吸いたい気持ちをやわらげたり、喫煙したときの満足感を弱めたりする仕組みの薬です。ニコチンそのものを体に補う薬ではなく、禁煙を続けやすくするために医師の管理のもとで使う薬と考えるとわかりやすいと思います。
禁煙したいと思っていても、実際には「イライラする」「吸いたい気持ちが強い」「仕事の休憩時間につい手が伸びる」など、離脱症状や習慣の壁があり、思うようにいかないことが少なくありません。添付文書でも、禁煙そのものに伴って不快感、抑うつ気分、不眠、いらだたしさ、不安、集中困難、食欲増加、体重増加などがみられることがあるとされています。そのため、禁煙治療は薬だけでなく、診察の中で生活パターンや吸いたくなる場面を一緒に整理しながら進めていくことが大切です。
どのように使うのか

チャンピックスは、禁煙を始める日をあらかじめ決め、その1週間前から内服を開始します。通常は第1~3日目が0.5mgを1日1回、第4~7日目が0.5mgを1日2回、第8日目以降は1mgを1日2回食後に内服し、投与期間は12週間です。治療は自己判断で始めるものではなく、禁煙治療プログラムに基づいた指導のもとで適切に使うことが求められています。また、原則として他の禁煙補助薬との併用はしないこととされています。
保険診療で禁煙治療を受けられるかどうかは、ニコチン依存症の判定や喫煙歴、禁煙の意思などを確認して決まります。厚生労働省の案内では、TDSで5点以上、35歳以上ではブリンクマン指数200以上、直ちに禁煙する意思があること、標準手順書に沿った治療に同意していることなどが条件として示されています。加熱式たばこ使用者も保険診療の対象とされています。

どのような方が相談を検討しやすいか
特に相談を検討しやすいのは、これまで自力で何度も禁煙に失敗してきた方、朝起きてすぐ吸いたくなる方、健康診断で高血圧・脂質異常症・糖尿病などを指摘されている方、咳や息切れが気になってきた方です。喫煙は肺や気管支だけでなく、心筋梗塞や脳卒中、動脈硬化、慢性閉塞性肺疾患などさまざまな病気と関係します。禁煙は年齢にかかわらず健康に良い影響が期待できるため、「もう長年吸っているから今さら遅い」と考えず、一度相談してみることが大切です。禁煙治療は、単に薬を出して終わりではなく、再喫煙しやすい場面を減らし、継続を支えるための外来です。

副作用と注意点
チャンピックスは便利な薬ですが、誰にでも問題なく使えるわけではありません。添付文書では、比較的多い副作用として、嘔気28.5%、不眠症16.3%、異常な夢13.0%、頭痛11.6%などが記載されています。このほか、便秘、鼓腸、眠気、注意力の低下、抑うつ、不安などがみられることもあります。飲み始めの時期に胃のむかつきや睡眠の変化を感じる方もいるため、症状が強いときは我慢せず早めに相談することが重要です。忍容性に問題がある場合には減量できることもあります。
また、精神症状の変化には注意が必要です。添付文書では、抑うつ気分、不安、焦燥、興奮、行動や思考の変化、自殺念慮や自殺などが報告されているため、服用中や中止後にいつもと違う精神状態がみられた場合は速やかに医師へ連絡するよう求めています。さらに、めまい、傾眠、意識障害などがあらわれ、自動車事故に至った報告もあるため、服用中は自動車の運転や危険を伴う機械の操作を避ける必要があります。重い腎機能障害がある方では用量調整も必要です。
再開した今こそ、禁煙を考えるきっかけに
チャンピックスの再開は、これまで禁煙治療の選択肢が限られていた方にとって一つの追い風といえます。ただし、薬が再開したからといって、すべての方に同じ方法が合うわけではありません。喫煙本数、過去の禁煙歴、持病、服用中の薬、生活スタイルによって、飲み薬が向いている方もいれば、貼り薬や別の方法が向いている方もいます。大切なのは、「自分に合った形で禁煙を続けること」です。
たばこは、吸っている間は大きな症状がなくても、将来的に肺・心臓・血管に負担をかけ続けます。健診で異常を指摘された方、咳や痰、息切れが気になる方、ご家族から禁煙をすすめられている方は、禁煙外来を受診する良いタイミングかもしれません。
以上、「禁煙治療で使える飲み薬『チャンピックス』が再開!」をテーマにまとめました。禁煙したい気持ちはあっても、一人で続けるのは簡単ではありません。気になる方は、無理に自己流で頑張りすぎず、まずは医療機関へご相談ください。
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