「睡眠時無呼吸症候群と診断されてCPAPを始めたけれど、どうしても続かない」
「マスクの圧迫感が苦手で、何度も起きてしまう」
「寝ている間に無意識に外してしまっている」
こうした悩みを持つ方は少なくありません。CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)は、睡眠時無呼吸症候群の標準的な治療方法です。しかし、その継続率は決して高いとは言えず、特に導入初期に挫折してしまう方が多いことが分かっています。
今回は、札幌市西区のグッドライフクリニック西町南より「CPAPが続かない人へ|使い方の工夫と代替方法」というテーマでお届けします。ご自身またはご家族がSASの治療に取り組まれている方は、ぜひご一読ください。
目次
続けるための工夫 ~ちょっとした調整で改善することも~
① マスクの種類を見直す
CPAPにはさまざまなタイプのマスクがあります。鼻にだけつける「鼻マスク」、鼻と口を覆う「フルフェイスマスク」、鼻の穴に直接装着する「ナーザルピロータイプ」など。ご自身の顔や寝姿勢に合ったマスクを見つけることが非常に重要です。
② 加湿機能の活用
冬場や乾燥する季節には、CPAP使用時に鼻や口が乾きやすくなります。多くの機種には加湿機能がついていますので、設定を調整することで症状が改善することがあります。
③ 気圧の調整
CPAPの圧が強すぎると感じる場合、医師と相談のうえで圧を微調整することが可能です。また、「自動気圧調整機能(AutoCPAP)」を備えた機種を選択することで、より快適な使用感が得られる場合もあります。
④ 装着のタイミングを変える
「眠る直前に装着する」「眠る30分前から慣らしておく」など、使用開始のタイミングを工夫することで、違和感を軽減できることがあります。
⑤ 定期的なメンテナンスと衛生管理
マスクやチューブ、フィルターは定期的な清掃・交換が必要です。装着感の悪化や異臭なども、CPAP離脱の原因になることがあります。
CPAP以外の選択肢~無理に我慢する必要はありません~
どうしてもCPAPが合わない場合は、無理に続ける必要はありません。SASの重症度や生活スタイルによって、次のような代替方法を検討することができます。
① 口腔内装置(マウスピース)
軽症~中等症の方に対して有効な治療法です。歯科で作成する専用の装置を就寝時に装着することで、下顎を前方に保持し、気道の閉塞を防ぎます。CPAPと比べて取り扱いが簡便で、外泊や出張が多い方にも向いています。
※保険適用には医師による診断書が必要です。
② 減量
肥満がSASの原因となっている場合、減量により症状が大きく改善することがあります。特にBMIが高い方には、生活習慣の見直しとともに、食事指導・運動療法を行うことが重要です。当院の肥満外来では減量に伴い6-12か月でCPAPを卒業できる方が一定数いらっしゃいます。毎月5,000円近くの金銭的な負担、装着の手間などもあり、いつかはCPAPなしの生活を送りたい方は多いと思います。減量を進めるうちにだんだん良くなるという方より、ある一定の体重まで減るといきなり良くなる方が多い印象です。
③ 手術的治療
まれに、扁桃肥大や鼻中隔弯曲などの解剖学的異常が原因の場合、外科的治療(口蓋垂や咽頭の整形など)が有効なこともあります。ただし侵襲的であるため、慎重な判断が必要です。原因が改善されると、劇的に無呼吸は改善することがあるため、鼻中隔の高度弯曲、副鼻腔炎がある、扁桃が昔から大きいといわれている人に対しては、当院ではまず耳鼻科受診を勧めております。
「使い続ける」ことの重要性
SASを放置すると、日中の強い眠気により交通事故のリスクが高まるほか、心筋梗塞、脳卒中、高血圧、糖尿病などの生活習慣病とも深い関連があります。CPAPの効果は、適切に使用を続けることで最大限に発揮されます。決して「我慢してでも使え」というわけではありませんが、症状や状況に応じて、継続できる方法を一緒に見つけていくことが大切です。
まとめ ~まずは気軽に相談を~
CPAP治療は非常に効果の高い治療法ですが、「合わない」と感じる方が一定数いらっしゃるのも事実です。工夫や代替手段を知っておくことで、自分にとって最適な治療法に出会える可能性が広がります。
当院ではCPAP使用に関するご相談はもちろん、マウスピース治療のご案内や生活習慣改善の支援など、患者様一人ひとりに合わせたサポートを行っています。CPAPでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
院長紹介
医療法人グッドライフグループ/グッドライフクリニック西町南
理事長/院長 野呂昇平(のろしょうへい)
旭川医科大学卒業
- 日本救急医学会 救急科専門医
- 日本産業衛生学会 産業衛生専攻医
- 日本脳神経外科学会 専門医
- 日本脳神経血管内治療学会 専門医
- 日本脳卒中学会 専門医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- 日本医師会認定産業医
- 健康運動指導士
- JATEC インストラクター
- ICLS認定インストラクター

ご挨拶
グッドライフクリニック西町南の野呂昇平と申します。
脳神経外科医として多くの手術症例や研究を経て、救急科専門医として札幌孝仁会記念病院(旧北海道大野記念病院)で西区や手稲区を中心に救急症例を診てきました。
2021年8月に現在の西町南に生活習慣病や在宅医療を中心に行う「グッドライフクリニック西町南」を開業。
2024年4月より医療法人グッドライフグループを設立。同時にクリニックの拡張工事を行い、生活習慣病や肥満外来以外にも新たに一般内科や通所リハビリテーション機能を備えたクリニックとして体制を整えました。
当院の特徴
① 幅広い疾患への対応と札幌市でも少ない生活習慣病に特化した外来
外科医、救急医としての専門性を基盤にし、生活習慣病や緊急疾患に対する診療を数多く行ってきました。メディカルフィットネスを併設しており、運動と食事を中心に丁寧な外来診療を心掛けております。
電話かオンラインでの予約制のため、受付~会計まで30分以内を目標にスタッフ一同努力しております。
② 充実した在宅医療、自慢のスタッフ
当院では訪問診療だけではなく、訪問看護、訪問リハビリテーションを行っており、通院が困難な患者様に対して医療保険と介護保険を利用したサービスを提供しております。私自身も救急医として、通常の在宅医が困難な処置や急変時の対応を得意としております。
当院の在宅医療の最大の特徴は訪問リハビリテーションです。「脳卒中」「運動器」「心血管」を専門とする多くの理学療法士が所属しており、スタッフの自己研鑽によりほとんどが健康運動指導士や公認パーソナルトレーナーなどの資格を有しております。
③ 積極的な予防医学の実施
当院では一般的な健診はもちろんのこと、該当する方には、医師、保健師、管理栄養士による特定保健指導を行います。積極的支援の対象の方は、併設するメディカルフィットネスを利用し、運動食事プログラムを行います。
また産業医の活動の一環として、企業で生活習慣病を指摘された方の診察や保健指導、集団予防接種を積極的に行っております。
健康教育の普及のために地区センターへの講演会、健康運動教室も定期的に開催しております。
外来紹介
- 生活習慣病外来
- 肥満外来
- 小児肥満外来
- 睡眠時無呼吸外来
- 禁煙外来
- 頭痛外来
- アレルギー外来
- 各種ワクチン接種

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生活習慣病のこと、お気軽にご相談ください。



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