「学校から健診の結果が返ってきたけど、“肥満傾向”ってどういうこと?」
「うちの子、確かにちょっとぽっちゃりしてきたかも…でも病院に行くほどなの?」
そんなふうに戸惑われた保護者の方も多いのではないでしょうか。
今回は、札幌市西区のグッドライフクリニック西町南より「子どもが学校健診で『肥満』と指摘されたら?親がとるべき行動」をテーマに、子どもの肥満の原因・影響・対応策について、医療的観点からわかりやすくまとめました。未来ある子どもたちの健康を守るために、ぜひご一読ください。
肥満とは何か? 〜健診結果の見方〜
学校健診で「肥満傾向」とされるのは、「肥満度」が一定の基準を超えた場合です。肥満度とは、標準体重に対して実際の体重が何%多いかを表す指標で、子どもの年齢・性別ごとに計算されます。
- 肥満度20%以上 → 肥満傾向児
- 肥満度30%以上 → 要観察または受診勧奨の対象になることも
これは一時的な体重増加を指摘するものではなく、「生活習慣を見直す必要があるかもしれない」というサインです。
子どもの肥満が与える健康リスク
子どもの肥満は、見た目の問題だけではなく、以下のような将来的な健康への影響が指摘されることがあります。
1. 生活習慣病のリスク増加
肥満の子どもは、高血圧・脂質異常症・高血糖など、いわゆる“メタボリックシンドローム予備群”になる可能性があります。これらは本来中高年に多い疾患ですが、近年は小学生でも診断されるケースも報告されています。
2. 運動機能や自尊心への影響
肥満によって運動が苦手になったり、他の子どもと比較して自信を失うことがあります。運動不足がさらに肥満を助長し、悪循環に陥ることも少なくありません。
3. 成長やホルモンバランスへの影響
肥満児は思春期の進行が早まる(早熟)傾向があり、成長に影響を与える可能性があります。また、ホルモンバランスの乱れによって月経不順や将来的な不妊のリスクも指摘されています。
親としてまずやるべきこと
1. 「太っている=悪い」ではないことを伝える
まず大切なのは、「肥満=恥ずかしい」「痩せなければだめ」といった否定的なメッセージを避けることです。子どもはとても敏感です。「一緒に健康を考えようね」という前向きな姿勢を伝えることが大切です。
2. 家庭の生活習慣を見直す
子どもの食生活や運動習慣は、家庭環境が大きく関与します。
食事面での工夫
- スナック菓子・ジュース・加工食品の頻度を減らす
- ごはん・おかず・野菜の「三点盛り」を意識
- よく噛んで食べることで満腹感を得る
運動習慣の見直し
- テレビ・ゲーム・スマホ時間を減らす
- 家族で散歩や公園遊びを取り入れる
- スポーツクラブや体操教室などの習い事も◎
3. 睡眠時間を確保する
睡眠不足は食欲を増進するホルモンの分泌を促し、体重増加の原因になります。小学生は9~10時間、中学生は8~9時間程度の睡眠が理想です。
「病院に行くべき?」と悩んだら
「ダイエットさせるべきか」「何を食べさせたらいいかわからない」と感じたら、まずは小児科や内科クリニックにご相談ください。当院でも、身長・体重の推移、食事内容、生活習慣を一緒に確認しながら、無理のない方法をご提案いたします。
無理な食事制限や過度な運動は、逆に心身の発達のバランスを崩すおそれがあるため、医師と相談しながらバランスの取れた対応を行うことが大切です。
肥満は「成長過程の一部」とも捉えられる
すべての“ぽっちゃり体型”が健康リスクになるわけではありません。一時的な体重増加で済む場合も多く、成長曲線をもとに経過を見ることが重要です。
ただし、生活習慣がそのままであれば、成人後に生活習慣病を発症するリスクもあると言われています。「今のうちから家族で取り組めることは何か?」を一緒に考えることで、お子さんの将来の健康を守ることにつながります。
最後に
「子どもの肥満」は、本人だけの問題ではなく、家族全体の生活習慣に関わることがほとんどです。
- 無理なダイエットではなく、生活習慣の見直しから
- 否定するのではなく、寄り添いながら行動する
- 困ったら医療機関へ相談する
この3つを意識することで、前向きに健康づくりを進めていくことができます。
当院では、生活習慣に関するご相談や、学校健診後の再検査・ご相談も受け付けております。お困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。
以上、「子どもが学校健診で『肥満』と指摘されたら?親がとるべき行動」についてまとめさせていただきました。今後も週2回のペースで、地域の皆さまに役立つ情報をお届けしてまいります。