「最近血圧が不安定だけど、原因がわからない」
「検診では正常値だったのに、日によって血糖が高くなることがある」
「イライラや不安が続いていて、体調までおかしく感じる」
そんな声を外来でよく耳にします。実は、その症状の裏には「ストレス」が関わっていることが多いのです。
今回は、血圧や血糖値とストレスの深い関係、そして生活習慣病の予防における“メンタルケア”の重要性についてお伝えします。
目次
ストレスが血圧に与える影響
ストレスを感じた時、私たちの体は「闘うか逃げるか」に備えて交感神経が活発になります。これによりアドレナリンやノルアドレナリンといったホルモンが分泌され、以下のような反応が起こります。
- 心拍数の上昇
- 血管の収縮
- 血圧の上昇
一時的な上昇であれば問題になりませんが、慢性的にストレスが続くと、常に高血圧の状態が続くことになり、血管に負担がかかり続けます。これは、動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞のリスクを高める原因となります。
また、寒冷環境や生活習慣の乱れ(運動不足、塩分過多など)にストレスが加わることで、より一層血圧が上がりやすくなるため、冬場や仕事の繁忙期などは特に注意が必要です。
ストレスと血糖値の意外な関係
「血糖値の変動」と聞くと、食事内容や運動不足が原因と考えがちですが、ストレスも大きな影響を与える要因です。
ストレスが加わると、コルチゾール(ストレスホルモン)というホルモンが分泌され、これが血糖を上昇させます。コルチゾールは本来、体にとって必要なホルモンですが、過剰に分泌されると以下のような影響があります。
- 肝臓での糖新生が促進され、血糖が上がる
- インスリンの働きが鈍くなる(インスリン抵抗性)
- 空腹感が強くなり過食傾向になる
つまり、ストレスは糖尿病の発症や悪化にも関わっているのです。中には、職場でのストレスが強い日は血糖値が跳ね上がるという方もいます。
生活習慣病とストレス管理の関係
生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症など)は、食事・運動・睡眠などの生活習慣が深く関わっている病気ですが、実は*心の状態”も大きな要因です。
特に以下のような傾向がある方は注意が必要です。
- 長時間労働や夜勤が多い
- 責任のある立場で気が休まらない
- 家庭内での介護や子育てに追われている
- 相談相手が少なく、孤立しがち
このような状態が続くと、生活習慣が乱れるだけでなく、交感神経が過剰に優位になり、血圧や血糖のコントロールが難しくなることがあります。
どのようにストレスと向き合えばよいか?
生活習慣病予防のためには、運動や食事と同じように「ストレス対策」も日常に取り入れる必要があります。以下は、当院でも推奨しているストレスマネジメントの方法です。
1. 深呼吸や瞑想で自律神経を整える
1日5分でよいので、目を閉じてゆっくりと呼吸を意識するだけでも副交感神経が優位になります。
2. ウォーキングや軽い運動
運動は血流を改善し、ストレスホルモンを下げる効果があります。1日15分の散歩でも効果は十分です。
3. 睡眠の質を整える
睡眠不足はストレスを倍増させる要因です。就寝前のスマホやカフェイン摂取は控え、リラックスできる環境を整えましょう。
4. 話す・共有する
ストレスは溜めこまず、家族や友人、医師に相談しましょう。話すだけで気持ちが軽くなることもあります。
5. 趣味を持つ
読書や音楽、料理など、没頭できる「好きなこと」を持つことで、心に余裕が生まれます。
医療機関でのメンタルチェックも有効です
血圧や血糖がなかなか安定しない方の中には、実は「ストレスが主な原因」であることもあります。
当院では、必要に応じてストレスの評価や生活アドバイスも行っております。必要があれば専門機関の紹介も可能です。「薬だけではよくならない」「検査では異常がないのに体調が悪い」そんな場合は、一度ご相談ください。
まとめ ~ストレスケアは生活習慣病の立派な予防法~
- ストレスは血圧や血糖の上昇に大きく関わっています。
- 慢性的なストレスは動脈硬化や糖尿病の進行を促進します。
- 生活習慣病の治療・予防には、メンタルの安定が不可欠です。
- 呼吸法、運動、睡眠、会話などで心を整えましょう。
生活習慣病の治療は「数値を下げること」が目的ではなく、「健康に毎日を過ごすこと」が目標です。そのためにも、「心の健康」にもぜひ目を向けてみてください。
ご自身の状態を知る第一歩として、血圧測定や血糖チェックに加え、「最近ストレスを感じていないか」を振り返ってみてはいかがでしょうか。



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