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糖尿病と皮膚トラブルの関係性とは
糖尿病と聞くと「血糖値」の問題を思い浮かべる方が多いと思いますが、実は皮膚にも大きな影響を及ぼします。
糖尿病患者さんのおよそ30〜70%が、何らかの皮膚トラブルを抱えるとも言われており、その症状は軽い乾燥から深刻な潰瘍までさまざまです。
皮膚は私たちの身体の「外壁」としての役割を果たしていますが、糖尿病によってその機能が低下することで、感染や炎症、損傷に対して非常に脆弱になります。
本記事では、糖尿病と皮膚の関係を医師の視点から詳しく解説し、日常的な予防・改善策まで紹介します。
糖尿病が皮膚に与える影響とその理由
糖尿病によって血糖値が高くなると、体内の毛細血管や神経がダメージを受けます。これにより、皮膚のバリア機能が低下し、乾燥・かゆみ・感染といった症状が現れやすくなるのです。
また、血流が悪くなることで、皮膚の再生力が低下し、傷の治りも遅くなります。特に足先など末梢部分は神経障害によって感覚が鈍くなり、小さな傷に気づかず悪化させてしまうことも少なくありません。
具体的なメカニズム
・高血糖 → 末梢血流の悪化 → 皮膚の酸素・栄養供給の減少
・神経障害 → かゆみや痛みの感知が鈍る
・免疫力低下 → 感染リスクが高まる
代表的な糖尿病性皮膚疾患
糖尿病に伴って起こりやすい皮膚疾患には、以下のようなものがあります。
1. 糖尿病性乾皮症（かんぴしょう）
糖尿病患者の多くが訴える皮膚の乾燥は、血流障害と神経障害の影響です。乾燥した皮膚はバリア機能が弱まり、かゆみやひび割れが起こりやすくなります。
2. 皮膚感染症
高血糖の状態では細菌や真菌（カビ）が繁殖しやすくなり、「とびひ」や「カンジダ症」といった皮膚感染が発生しやすくなります。
3. 糖尿病性潰瘍・壊疽（えそ）
特に足に発生しやすい糖尿病性足潰瘍は、悪化すると壊疽（組織が死ぬ状態）につながり、最悪の場合は切断が必要になることも。早期発見と適切なケアが欠かせません。
皮膚の変化から糖尿病を見つけるヒント
実は、皮膚の異常が最初の糖尿病のサインとなることもあります。以下のような症状に心当たりがある方は、血糖値のチェックをおすすめします。
・原因不明のかゆみが続く
・手足の乾燥が異常に強い
・傷の治りが悪い
・頻繁に皮膚トラブルを繰り返す
・足の裏の感覚が鈍くなってきた
これらは、いずれも糖尿病の初期〜中期に見られる可能性のある皮膚症状です。皮膚は身体からの重要なメッセージを発しています。
皮膚トラブルの予防・改善に向けた実践法
皮膚トラブルを予防・改善するには、血糖コントロールが最優先です。加えて、以下のような習慣が有効です。
実践したい習慣
・1日1回の保湿ケア（特に入浴後）
・汗をかいたらこまめにシャワーやタオルで清潔に
・爪は短く切り、ひっかき傷を防止
・綿素材の通気性が良い下着を選ぶ
・定期的に足の裏や皮膚全体をチェック
また、皮膚症状が現れた際には早めの受診が重要です。糖尿病に詳しい皮膚科医や内科医の診察を受けましょう。
皮膚症状は糖尿病の警告サインかも
糖尿病は血糖だけでなく、皮膚にも重大な影響を及ぼします。乾燥やかゆみといった一見軽い症状でも、放置すると感染症や壊疽といった重篤な状態に進行することがあります。
逆に言えば、皮膚の異常をいち早く察知することで、糖尿病を早期に発見・治療できる可能性もあります。皮膚のサインを見逃さず、日々のスキンケアと血糖管理を丁寧に行うことが、糖尿病とうまく付き合う鍵となるでしょう。
