「うちの子、最近ちょっとぽっちゃりしてきたかも…」
「お菓子を減らしてほしいけど、どう言えばいいのかわからない」
このような声を保護者の方から多く聞くようになりました。子どもの肥満は単に見た目の問題ではなく、将来の健康に大きく関わる重要なテーマです。
今回は札幌市西区のグッドライフクリニック西町南より、「子どもの間食と肥満の関係」について、医学的な知見をもとに解説していきます。
目次
子どもの肥満はなぜ問題なのか?
子どもの肥満は近年注目されており、特に都市部では小学生のおよそ10人に1人が「肥満傾向」とされています。肥満は以下のような健康への影響が指摘されています。
- 高血圧
- 高脂血症(LDLコレステロール、中性脂肪の上昇)
- 2型糖尿病
- 睡眠時無呼吸症候群
- 心理的な問題(自己肯定感の低下やいじめの原因)
これらは大人になってからではなく、子どものうちから既に兆候がみられるケースが多いのが特徴です。
間食が肥満につながる理由
1. 高カロリー・低栄養の食品が多い
市販されているスナック菓子や清涼飲料水、チョコレートなどは高カロリーでありながら、ビタミンやミネラルなどの栄養素が不足しています。これを「エンプティカロリー」と呼びます。
たとえばポテトチップス1袋(60g)には約330kcal、炭酸飲料500mlには約200kcalのエネルギーが含まれています。これだけで小学生の1食分に相当するカロリーとなることもあります。
2. 習慣化による食欲の乱れ
間食が習慣化すると、「お腹が空いていなくても食べる」「手が伸びる」「口が寂しいから何か食べたい」という状態が続き、食欲中枢が乱れていきます。
また、「報酬としてのお菓子」が習慣になると、感情のコントロールをお菓子に依存する傾向も出てきます。
子どもの肥満は「生活習慣病」の入り口
大人の生活習慣病と同じように、子どもでも高血圧や脂質異常症、耐糖能異常(糖尿病の前段階)が見つかるケースがあります。とくに次のような要因が重なるとリスクは高まります。
- 運動不足(外遊びが少ない、ゲームやスマホ時間が長い)
- 就寝時間の遅さ(睡眠不足は食欲ホルモンに影響)
- 朝食を抜く(空腹時間が長くなり、昼食や間食が過食になりやすい)
- 家族に肥満・糖尿病の既往がある
特に肥満の子どもは、将来も肥満傾向を持つケースがあるとされており、生活習慣の見直しが早い段階で必要です。
「間食の見直し」5つのステップ
ステップ①:間食を「禁止」ではなく「選ぶ」意識へ
子どもにとって間食は、成長期のエネルギー補給にもなります。完全にゼロにする必要はありません。むしろ「どんな間食を選ぶか」が重要です。
おすすめの間食例(1日100~150kcal程度)
- おにぎり(小サイズ)
- バナナ1本
- ヨーグルト(加糖タイプは控えめに)
- チーズ1切れ
- 無糖の麦茶、水
ステップ②:時間を決める
「帰宅後すぐ」「夕食の30分前」など、時間を固定して与えることでだらだら食いを防げます。
ステップ③:家族で共通認識を持つ
祖父母が内緒でお菓子を与える、家族で対応が違うと混乱を招きます。家庭全体で「間食ルール」を共有し、同じ対応を心がけましょう。
ステップ④:視界から消す
お菓子が目につく場所にあると、子どもは自然と手が伸びてしまいます。隠す・買いだめしない・与える量だけ出すのがコツです。
ステップ⑤:保護者の食習慣を見直す
子どもは親の真似をします。親がジュースを飲んでいれば、子どもも飲みたくなります。大人が「食べない姿勢」を見せることも大切です。
肥満の兆候に気づくサイン
以下のような兆候がある場合、必要に応じて医療機関への相談を検討ください。
- 健診で「肥満傾向」と言われた
- 首や脇の下に黒ずみ(インスリン抵抗性のサイン)
- 息切れしやすい
- 睡眠中にいびきが多い・起きたときに疲れている
- 急激に体重が増えてきた
当院では、小児の肥満に関する相談を保護者と一緒に行っています。血液検査や体組成の評価なども必要に応じて行い、ご家庭で出来る範囲で無理のない方法で生活改善のサポートを行います。
子どもの「適正な体重管理」環境づくりを
子どもにとって無理な食事制限や体重管理は、自己肯定感の低下や拒食・過食の引き金にもなりかねません。
大切なのは、「体重を落とすこと」ではなく、「健康的な生活習慣を身につけること」です。結果的に体重は適正になっていきます。
最後に
子どもの間食は家庭環境や生活スタイルに深く結びついています。だからこそ、親御さん自身が「何を、どれだけ、どうやって与えるか」に関心をもち、行動していくことがとても大切です。
当院では肥満外来を通じて、お子さんの健康な成長をサポートしています。「最近、体重が気になる」「食生活を見直したい」と思ったら、ぜひお気軽にご相談ください。
グッドライフクリニック西町南では、今後も週2回のペースで健康に役立つ情報を発信していきます。