「うちの子、体育の授業や部活でよく足をひねるんです」
「捻挫した後もしばらく痛みが続いていて、心配だけどどこに相談すればいいのかわからない」
このようなお悩み、実は多くの保護者の方が抱えています。特に小中学生の時期は、身体の成長とともに運動能力も急激に変化するため、思わぬケガをしやすい時期でもあります。
今回は札幌市西区のグッドライフクリニック西町南より、「体育でケガをしやすい子は要注意!運動器検診の活用法」というテーマで、運動器検診の基本知識と活用法、またケガの予防のためにできることについてご紹介します。
運動器検診とは?
運動器検診とは、成長期の子どもに対して、筋肉や骨、関節、姿勢、歩行、運動能力などに異常がないかを評価する検査です。文部科学省の方針により、2016年から全国の小・中学校でこの検診が導入されています。
主に以下のような目的があります。
- 成長に伴う整形外科的な問題(側弯症、扁平足、O脚など)を早期に発見
- スポーツ活動による負担やケガを予防
- 運動習慣や姿勢の改善につなげる
札幌市では小学校4年生以上、中学生が運動器検診の対象となっており、保護者が記入する問診票も重要な判断材料になります。
子どもに多い運動器のトラブルとは?
成長期の子どもは、骨や関節、筋肉のバランスが未成熟な状態です。そのため、日常的な運動や部活動、体育の授業で以下のようなケガや障害が起きやすくなります。
1. 成長痛
特に多いのが「オスグッド病」や「セーバー病」といった成長期特有の骨端症です。膝や踵の骨が引っ張られ、炎症を起こすことがあります。
- 膝の下が腫れる、押すと痛い(オスグッド)
- かかとが痛くて走れない(セーバー)
これらは適切な運動制限とストレッチで改善することが多いですが、放置すると慢性化することもあるため、早めの対応が推奨されます。
2. 捻挫・肉離れ・骨折
ジャンプやダッシュ、切り返しの動作が多い競技(サッカー、バスケ、バレー)では、足首や膝の捻挫、太ももやふくらはぎの肉離れがよく見られます。骨の柔らかい子どもでは、捻挫と思っていたら「骨折だった」というケースも少なくありません。
3. 姿勢異常(側弯、猫背、反り腰など)
長時間のスマートフォンやゲーム、机に向かう学習姿勢により、背骨の歪みや筋力低下が目立つようになっています。姿勢が悪いと疲れやすくなり、運動時のフォームにも悪影響を与えます。
「体育でケガをしやすい子」のチェックリスト
以下のようなサインが見られるお子さんは、一度専門機関での診察や運動器検診の受診をおすすめします。
- 何度も同じ部位(足首・膝など)を痛める
- 歩き方に違和感がある(足を引きずる、左右差がある)
- しゃがんだり、ジャンプが苦手
- 朝起きたときに関節がこわばる
- 姿勢が悪く、肩こりや腰痛を訴える
こうした症状は、「成長期だから仕方ない」と放置せず、原因を見つけて早期に対応することが大切です。
運動器検診の活用法と当院でできること
学校で一次検診を受けたあと、「整形外科受診をおすすめします」と言われたものの、どこに行けばいいかわからないという声も多く聞かれます。
当院では、地域のかかりつけ医として、以下のようなご相談に対応可能ですが、明らかな側弯症の場合は「整形外科」、スポーツ活動に関連する問題は「スポーツ整形」の受診を勧めます。
- 学校から運動器検診の結果を持参される方への再評価
- 姿勢・歩行の異常に関する相談
- スポーツ活動におけるリスク管理とトレーニング指導
また、必要があれば整形外科専門医やリハビリテーション科と連携して対応いたします。成長期のケガは、早期の対応で完治するケースが多く、慢性化させないことがポイントです。
ケガを予防するために家庭でできること
1. ストレッチを習慣にする
柔軟性の低下はケガの大きな原因です。特に成長期の子どもは筋肉が骨の成長に追いつかず、張りやすい傾向があります。毎日の軽いストレッチ(太もも、ふくらはぎ、股関節など)を寝る前や運動後に行うことをおすすめします。
2. 十分な睡眠と栄養
成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されます。夜更かしや食事の偏りは成長の妨げになるだけでなく、疲労が蓄積してケガのリスクも高まります。バランスのとれた食事と、毎日8時間以上の睡眠を心がけましょう。
3. 靴の見直し
靴が合っていないと足首や膝に余計な負担がかかります。運動量の多いお子さんには、かかとをしっかり支えるタイプの運動靴を選び、サイズもこまめに確認しましょう。
オーダーメードで足底具(インソール)を作成することで改善されることもありますので、専門店への相談をおすすめします!
最後に
「体育の授業でケガをした」「また足を痛めた」と繰り返す子どもには、身体の使い方や筋力、姿勢に問題が隠れていることが少なくありません。運動器検診は、ケガのリスクを把握する良い機会です。
当院では、子どもの運動器に関するご相談も受け付けております。些細な症状でも気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
今後も週2回のペースで、地域の皆様のお役に立てる医療情報を発信してまいります。