はじめに
「子どもがぽっちゃりしてきたけど、成長だから気にしなくていいのかな?」
「最近、体力が落ちてきた気がする…学校でも疲れやすいって言っている」
そんなお悩みをお持ちの保護者の皆さんへ。
近年、日本における小児肥満は増加傾向にあり、将来的な生活習慣への影響が指摘されています。
インターネットで「小児肥満 治すには」と検索する方が増えているように、多くの保護者が子どもの健康を真剣に考え始めています。
今回は札幌市西区のグッドライフクリニック西町南より、「小児肥満の原因と、家庭で今日からできる5つの対策」をお届けします。
小児肥満とは?
小児肥満とは、成長に応じた適正な体重を超えて脂肪が過剰に蓄積されている状態を指します。身長や年齢に対する体重のバランスを基に、肥満度やBMI(体格指数)などを用いて判断されます。
文部科学省の調査によると、特に10歳前後の男子で肥満傾向が年々増えており、家庭での生活習慣が深く関係していることが示唆されています。
肥満による将来的な健康リスク
「子どもの頃は太っていても成長とともに自然に痩せる」と思われがちですが、実は小児期の肥満は成人期の肥満へと移行するリスクが高く、以下のような生活習慣病の発症リスクも高まるといわれています
- 高血圧
- 脂質異常症
- 2型糖尿病
- 心血管疾患
- 睡眠時無呼吸症候群(特に首回りに脂肪がついている場合)
また、体力の低下や、いじめ・自己肯定感の低下など、精神的な面でも影響が出ることがあります。
小児肥満の主な原因
1. 過剰な摂取カロリー
スナック菓子や甘い飲み物、ファストフードの習慣的な摂取がカロリー過多の大きな要因です。近年はコンビニやネット注文の普及により、手軽に高カロリーな食品が手に入る時代です。
2. 運動不足
学校以外での遊びの時間が減り、外遊びよりもゲームやYouTubeなどの視聴時間が増加傾向にあります。1日の歩数や身体活動量の低下が肥満につながります。
3. 睡眠不足
夜更かしによる睡眠不足は、食欲をコントロールするホルモンバランスを崩す原因となります。成長ホルモンの分泌も乱れ、代謝が落ちることで太りやすくなります。
4. 家族の食習慣
親が高カロリーな食品を好む、間食が多い、食事時間が不規則であると、子どももその影響を強く受けます。家庭内の環境は小児肥満と関係する一因とも言えます。
5. ストレスや心理的要因
いじめ、不安、学業のプレッシャーなどによるストレスで過食傾向になる子どももいます。精神的ストレスが「食べること」で解消される場合、注意が必要です。
今日から始める!家庭で意識したい5つのポイント
① 食事の見直し:バランス重視の家庭ごはん
野菜・魚・大豆製品など、栄養バランスを考えた食事を意識しましょう。揚げ物中心のメニューを週1回程度に抑えるだけでも、カロリー摂取を抑える助けになることがあります。
具体的な工夫
- 野菜を1食に2品以上取り入れる
- 汁物で満腹感を高める
- ジュースよりも水かお茶を基本に
② 間食のルールを決める
おやつを完全に禁止する必要はありませんが、「時間と量」を決めることが大切です。
おすすめのルール:
- 1日1回、15時~16時の間に食べる
- 200kcal以内を目安に
- 果物やナッツ、ヨーグルトなど健康的な選択肢に
③ 1日30分以上の運動を習慣に
親子でウォーキングに出かける、ボール遊びをするなど、楽しみながら体を動かせる工夫を取り入れましょう。
アイデア:
- 「ながら運動」:テレビを見ながらストレッチ
- 「歩くゲーム」:万歩計アプリで家族対抗
- 雪国なら「除雪」も良い運動になります
④ 十分な睡眠を確保する
小学生なら9~10時間、中学生でも8~9時間の睡眠が推奨されています。夜更かしが習慣化している場合は、就寝・起床時間の固定から始めましょう。
ポイント:
- 寝る前1時間はテレビやスマホを控える
- 寝室を暗く静かに整える
- 就寝前の入浴で体温を一時的に上げてから寝ると眠りやすくなります
⑤ 保護者自身も一緒に取り組む
「子どもだけに頑張らせる」は逆効果です。家族で取り組むことで継続性が高まり、子どもも自然と良い習慣を身につけます。
- 家族全員で同じ食事をとる
- 一緒に運動する
- 達成したら一緒に小さなご褒美を設定する(例:公園、図書館へおでかけ)
クリニックからのひとこと
当院でも、小児肥満に関するご相談を受けることが増えてきました。肥満があるからといって必ずしもすぐに治療を始める必要はありませんが、「家庭でできる生活習慣の見直し」は大人にも子どもにも欠かせません。
特に「小児肥満を治すにはどうしたらいいの?」と感じている方は、一度小児科や内科での健康チェック(身長・体重・BMIの計測など)を受け、専門家から食事や運動に関する具体的なアドバイスを受けることが有効です。将来的な生活習慣病を防ぐ第一歩として、ご家族全体で取り組んでいきましょう。
まとめ
- 小児肥満は生活習慣に密接に関連し、将来的な健康リスクを高める
- 家庭でできる対策として「食事・運動・睡眠・間食・家族の協力」が鍵
- 子どもを責めるのではなく、環境を整えることが大切
「小児肥満を治す」特別な近道はありません。毎日の生活習慣を少しずつ整えることこそが、最も確実で長続きする方法です。まずはできることから一歩ずつ、子どもの健やかな成長を支えていきましょう。