目次
はじめに

この前、親戚がくも膜下出血になって亡くなった

たまに我慢できない頭痛があるのだけど大丈夫かな
いままで感じたことのないほど強い頭痛で発症するくも膜下出血ですが、頭痛以外にも色々な症状があります。また、くも膜下出血になった芸能人の方も多くいらっしゃいますが、問題なく社会復帰された方をいれば、亡くなった方もいます。
今回は札幌市西区のグッドライフクリニック西町南より「発症を防ぎたい!命に関わるくも膜下出血の知識と予防法を徹底解説」をテーマにお届けしていきます。今日からでも実践できる基本的な知識から予防法までを簡単にまとめたのでぜひご覧ください!
くも膜下出血とは
くも膜下出血とは、脳を覆うくも膜と脳の間に出血が起こる病気です。主な原因は 脳動脈瘤の破裂 であり、脳卒中の中でも特に致死率や後遺症のリスクが高い病気です。
脳卒中には3つのタイプがあり、それぞれ異なる特徴を持ちます。
- 脳出血:脳の内部で出血が起こる
- 脳梗塞:血管が詰まり、血流が途絶える
- くも膜下出血:脳の外側で出血が起こる
くも膜下出血の主な症状
くも膜下出血は突発的に発症し、以下のような症状が現れます。
症状

●突然の激しい頭痛(ハンマーで殴られたような痛み)
●嘔吐
●意識障害(突然倒れることも)
●首のこわばり
●手足のしびれや麻痺
特に「突然の激しい頭痛」はくも膜下出血の代表的な症状であり、命に係わる危険な兆候です。
くも膜下出血の原因
くも膜下出血の原因は様々ですが、最も多いのが脳動脈瘤の破裂 です。脳動脈瘤とは、血管が風船のように膨らんでしまう異常で、一定以上の大きさになると破裂しやすくなります。
その他の原因としては以下のようなものがあります。
- もやもや病(脳の血管異常)
- 外傷(事故や転倒など)
- 動脈硬化や高血圧

くも膜下出血のリスクと発症しやすい状況
「どんなときにくも膜下出血が起こるの?」と疑問に思うかもしれませんが、実は 日常のあらゆる場面で発症する可能性があります。

●安静時やリラックスしているとき(最も多い)
●排便・排尿時
●入浴中
●運動中
●睡眠中
特に排便・排尿時はリスクが高いという研究結果もあり、便秘がちの人は注意が必要です。
くも膜下出血の致死率と後遺症
くも膜下出血は非常に危険な病気で、約20~25%の人が即死 すると言われています。また、治療を受けても約半数は社会復帰が難しい状態 になる可能性があります。
3分の1ルール
- 1/3の人は死亡
- 1/3の人は重い後遺症が残る
- 1/3の人は社会復帰できる
つまり、発症すると3人に1人しか元の生活に戻れない という恐ろしい病気なのです。
くも膜下出血の治療法
くも膜下出血が発生した場合、治療方法は 「開頭手術(クリッピング)」または「血管内治療(コイリング)」の2つ です。動脈瘤ができた場所にもよりますが、「5mm以上」になると手術適応と考えている施設が多いです。

①開頭手術(クリッピング術)
・頭を開いて直接 動脈瘤の根元を金属クリップで挟み、血流を遮断 する手術。
・再発率が低いが、体への負担が大きい。
②血管内治療(コイリング術)
・カテーテルを使い、動脈瘤内に金属のコイルを詰めて血流を遮断 する方法。
・体への負担が少ないが、再発率がやや高い。
どちらの治療が適しているかは、動脈瘤の形や大きさ、位置 などによって決まります。
治療方法を決める基準として脳の深部にあるかどうかが重要となります。脳の深部にある場合、開頭手術で行う場合は頭蓋骨を外して脳の表面から隙間をかき分けて深部に向かうため、難易度は高くなります。血管内治療の場合は足の付け根の血管(大腿動脈)からアプローチして頸の血管(内頚動脈や椎骨動脈)を経由して、目的の動脈瘤に向かいます。深部にある動脈瘤の方がアプローチする距離が短くなるため、治療はしやすく、逆に脳の表面にある動脈瘤の方がカテーテル操作は困難になり、難易度は高くなります。
どちらの治療法が優れているのか?
「クリッピング手術とコイリング手術、どちらが良いのか?」という研究が行われました。
その結果、両方の治療が可能な患者では、血管内治療(コイリング)の方が成績は良かった という報告はありますが、個々の症例により適した治療法が異なります。その後の術後管理を考慮し、血管内治療を選択することが多いですが、専門医と相談のうえ適切な治療を選択することが重要です。
ただし、すべてのケースでコイリングが優れているわけではないため、専門医の判断が重要です。

脳神経外科と脳血管内治療専門医の両方の専門医を持っている私の立場としては、その方の状態や社会的背景なども考慮して決めますが、すでにくも膜下出血を発症した場合は、その後の術後管理も考慮し、血管内治療を選択することがほとんどです。どちらを選択しても予後に大きな差がない場合は、患者家族とよく相談して決めます。患者本人によく説明してインフォームドコンセント(IC)を取りたいところですが、ストレスがかかる話をすることで再破裂する可能性を高めるため、慎重にならなければなりません。再破裂した場合の死亡率は50%以上といわれております。
くも膜下出血の予防策
くも膜下出血を完全に予防することは難しいですが、生活習慣の改善によりリスクを低減できる可能性があります。✅ 高血圧の管理
✅ 禁煙・禁酒
✅ 適度な運動
✅ ストレス管理
✅ 便秘の改善特に 高血圧は動脈瘤の成長や破裂のリスクを高める ため、日頃から血圧のコントロールを意識することが重要です。
脳ドックでの早期発見が鍵!
「くも膜下出血は防げない」と思われがちですが、脳ドックを受けることで動脈瘤を早期発見し、未然に治療することが可能 です。
★ 40歳以上の方は定期的に脳ドックを受ける
★ 家族にくも膜下出血の既往歴がある人は特に注意
★ 突然の頭痛を感じたらすぐに病院へ
早期に発見できれば、破裂前に治療を受けることができ、くも膜下出血のリスクを大幅に下げることができます。

まとめ
- くも膜下出血は突然発症し、致死率・後遺症リスクが高い病気
- 原因の9割以上が脳動脈瘤の破裂
- 症状は突然の激しい頭痛・嘔吐・意識障害
- 発症後の1/3ルール(死亡・後遺症・回復)
- 治療法はクリッピング術とコイリング術の2つ
- 予防には血圧管理・禁煙・ストレス管理が重要
- 脳ドックでの早期発見がリスク軽減につながる
以上のことを覚えていただければ今日の話は完璧です!
当院にはMRI検査の設備はありませんが、連携医療機関にて検査を受けていたき、結果については当院医師よりご説明いたします。
【当院について】
当院は患者さんの内科的治療はもちろんのこと、病気にならないようにする、処方だけに頼らない「予防医学」に注力したクリニックです。
併設したメディカルフィットネスジムと協力して、診察以外の時間も患者さん、利用者さんに付き添い、日常生活に溶け込んだ医療を提供します。
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【医師紹介】 野呂 昇平
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