はじめに
脳梗塞と脳出血の人を見たことがあるけど、見た目では違いがわからない
親戚が脳梗塞で病院へ運ばれて、カテーテル手術をやった
脳出血は手術だと思っていたのに、手術はしないと医者に言われた
「脳梗塞」と「脳出血」は多くの点が似ている病気ですが、全く考え方が違う病気でもあります。脳卒中を扱う医師にとっては当たり前ことですが、一般の方からすると明確に違いを説明できない病気かと思います。
本記事では、脳梗塞と脳出血の違いについて解説します。今日からでも実践できる基本的な知識から予防法までを簡単にまとめたのでぜひご覧ください！
脳卒中とは
脳卒中とは『脳梗塞』『脳出血』『くも膜下出血』これら3つの病気の総称となります。
くも膜下出血は脳の表面を覆っているくも膜と脳の間で出血を起こす病気です。ほとんどが脳動脈瘤の破裂により発症し、約1/3の方が死亡する重篤な病気です。
こちらについてはくも膜下出血については、別の記事で詳しく解説予定です。
脳梗塞について
脳梗塞は、脳の血管が詰まり、血流が途絶えることで脳の一部が壊死する病気です。血流が途絶えると、酸素や栄養が脳細胞に届かなくなり、その部分の脳の機能が失われます。
脳梗塞の主な原因
●アテローム血栓性脳梗塞
動脈硬化によって血管が狭くなり、そこに血栓ができて血流が止まる。
●心原性脳塞栓症
心臓にできた決戦が脳の血管に飛び、詰まる。
●ラクナ梗塞
細い血管が詰まることで起こる小さな脳梗塞。
脳梗塞の症状
- 片側の手足や顔が動かしにくい、しびれる
- 言葉が出にくい、ろれつが回らない
- 視野の一部が見えなくなる
- めまいやふらつきがある
脳梗塞の症状は、詰まった血管の部位によって異なりますが、以上のようなものがよく見られます。
代表的な脳梗塞の症状をスクリーニングする方法としてFASTというものがあります。
F（Face）：笑顔を作らせると、片方の口角が下がっている
A（Arm）：両手を前に伸ばしても、片方が上がらない
S（Speech）：呂律が回らず、うまく話せない
T（Time）：上記の症状が出たらすぐに救急車を呼ぶ
FASTチェックは脳卒中を簡単に見るために選択する方法として広く知られています。
特に3つの症状がすべて現れる場合、脳卒中である可能性が高いとされています。
脳梗塞の治療には、血流の再開を促す方法があり、医師の判断によって適切な治療が選択されます。
脳梗塞の治療
- ｔ－ＰＡ治療：発症から４、５時間以内であれば可能。血栓を溶かす治療
- 血栓回収療法：カテーテルを用いた治療
詳しい治療については後日、「こんな症状があれば1秒でも早く病院へ！脳梗塞の急性期治療で後遺症はこんなに良くなります」で取り上げようと思います。
脳出血について
脳出血は、脳の血管が破れて出血し、その血液が脳の組織を圧迫することで起こる病気です。
脳出血の主な原因
●高血圧
血圧が高い状態が続くと、脳の細い血管が破れやすくなる。ほとんどは高血圧が原因で発症するため、日ごろの血圧管理が重要となります
●脳動脈瘤の破裂
脳の血管にできた動脈瘤が破裂し、出血する。
●アミロイド血管症
加齢による血管の変化で出血しやすくなる。
ほかにも頻度は少ないですが、脳腫瘍からの出血、脳血管奇形、硬膜動静脈瘻などがあります。
脳出血の症状
- 突然の激しい頭痛
- 意識障害や昏睡状態
- 片側の手足が動かなくなる
- 言葉が出なくなる、呂律が回らない
脳出血の症状は突然発症し、急激に悪化することが多いのが特徴です。
脳出血の治療
- 手術（開頭血種除去術、穿頭血種ドレナージなど）：血の塊を取り除く手術
- 保存的治療：軽症の場合、経過観察をしながらリハビリを行う
脳梗塞と脳出血の違い
| 脳梗塞 | 脳出血 | |
| 原因 | 血管が詰まる | 血管が破れる |
| 発症の仕方 | 徐々に症状が出ることが多い | 症状が出るまでが早い |
| 主な症状 | 片側の手足の麻痺、言葉が出にくい | 脳梗塞とほとんど同じ |
| 治療法 | 血栓溶解療法、血栓回収術 | 手術、保存的治療 |
脳卒中の予防法
脳卒中のリスクを下げる可能性のある生活習慣をご紹介
高血圧を管理する
脳出血の最大のリスクは高血圧です。塩分を控え、定期的に血圧を測定しましょう
生活習慣病を予防する
糖尿病や脂質異常症は脳梗塞のリスクを高めます。バランスの良い食事と適度な運動が重要です
禁煙、節酒を心がける
喫煙は動脈硬化を進行させ、飲酒は高血圧の原因となります。できるだけ控えましょう
ストレスを溜めない
過度なストレスは血圧を上げる要因になります。適度な休息や趣味の時間を持ちましょう
定期的な健康診断を受ける
脳卒中は予兆を見逃さず、早めに対処することが大切です。特に高血圧や動脈硬化がある方は、定期的に健康診断を受けましょう
まとめ
脳梗塞と脳出血は、同じ「脳卒中」ですが、脳梗塞は「血管が詰まる病気」、脳出血は「血管がやぶれる病気」です。どちらの病気もほとんどが動脈硬化の進行により高血圧や血栓、塞栓がきっかけとなり、血管が詰まったりやぶれたりします。後遺症を残さない方から命に関わる人もいます。これは経験上の話になりますが、生活習慣の管理や禁煙・節酒・適切な睡眠は、脳卒中リスクの低減に役立つ可能性があるといわれています。
脳卒中の知識を持ち、早期発見・早期対応を心がけることが大切です。
気になる症状がある場合は、医師に相談することも選択肢の一つです。グッドライフクリニック西町南では、生活習慣病の相談やサポートを行っております。脳梗塞のリスクについて気になる方は、お気軽にご相談ください。
【当院について】
当院は患者さんの内科的治療はもちろんのこと、病気にならないようにする、処方だけに頼らない「予防医学」に注力したクリニックです。
併設したメディカルフィットネスジムと協力して、診察以外の時間も患者さん、利用者さんに付き添い、日常生活に溶け込んだ医療を提供します。
〜外来紹介〜
・生活習慣病外来
・肥満外来
・睡眠時無呼吸外来
・禁煙外来
・頭痛外来
・アレルギー外来
・各種ワクチン接種
【医師紹介】 野呂 昇平
【各種資格】
・救急科専門医
・産業衛生専攻医
・脳神経外科専門医
・脳卒中専門医
・脳血管内治療専門医
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・産業医
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・公認パーソナルトレーナー（NSCA-CSCS/CPT）
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