はじめに
「最近、急に体重が減ってきた」
「喉がやたら渇いて水分をたくさん飲むようになった」
「尿の回数が多くて夜も何度も起きてしまう」
こうした症状は、風邪や疲れと思って見過ごしてしまうこともありますが、実は「1型糖尿病」のサインである場合があります。糖尿病といえば中高年や生活習慣病のイメージを持つ方も多いと思いますが、1型糖尿病は年齢や生活習慣に関係なく発症する可能性があり、特に若い世代や小児にも見られる病気です。
今回は札幌市西区のグッドライフクリニック西町南より、「1型糖尿病」について基本的な知識と日常生活の注意点をまとめてお届けします。
1型糖尿病とは?
糖尿病は血糖値が慢性的に高い状態が続く病気ですが、大きく分けて「1型糖尿病」と「2型糖尿病」の2つがあります。2型糖尿病は主に生活習慣(食事・運動不足・肥満)や加齢が関係しますが、1型糖尿病は自己免疫の異常により、膵臓のβ細胞が壊され、インスリンがほとんど分泌されなくなることで発症します。
主な特徴
- ・年齢に関係なく発症する(小児~高齢者まで)
- ・発症が急激で、数日~数週間で症状が進む
- ・生活習慣の改善だけではコントロールが難しい
- ・基本的にインスリン注射が必要
1型糖尿病は全糖尿病患者の約5%前後と少数派ですが、発症年齢が低いこともあり、日常生活や学校・仕事との両立が課題になることがあります。
発症の原因
1型糖尿病の原因は完全には解明されていませんが、自己免疫反応が関与していると考えられています。
自己免疫:ウイルス感染などをきっかけに、自分の膵臓のβ細胞を免疫が攻撃してしまう
遺伝要因:家族に1型糖尿病患者がいる場合、発症リスクはやや高くなる
環境要因:ウイルス感染、ストレス、食事内容などが関与する可能性がある
ただし、現時点では明確な予防方法は確立されておらず、特定の人に限らず発症することがある病気とされています。
診断と治療
診断は血糖値やHbA1c(過去1~2か月の平均血糖値)、尿検査(尿糖・ケトン体)、自己抗体の有無などで行います。
▶ 治療の基本はインスリン療法
1型糖尿病では体がインスリンを作れないため、外から補う必要があります。インスリンは飲み薬では効果がないため、注射(ペン型や持続皮下注ポンプ)で投与します。
また、血糖値の自己測定や持続血糖測定器(CGM)の活用により、日々の血糖変動を把握しながら、食事や運動のバランスを取ります。
日常生活での工夫
1型糖尿病と診断されても、適切な管理を続けることで、学校や仕事、趣味、スポーツなどにも取り組みやすくなります。
食事
- ✔ 主食・主菜・副菜をバランスよく
- ✔ 糖質量を把握してインスリン量と合わせる
- ✔ 間食は血糖値を急激に上げにくい食品を選ぶ
- ✔ 外食や行事の際は事前に計画を立てる
運動
- ✔ 低血糖リスクに配慮し、インスリンや補食を調整
- ✔ 無理のない有酸素運動(ウォーキング等)を継続
血糖管理
- ✔ 食前・食後・就寝前など定期的に測定
- ✔ 発熱やストレス時は血糖上昇に注意
- ✔ 低血糖症状(冷や汗・ふらつき・動悸)時は速やかにブドウ糖を摂取
合併症予防
血糖値が高い状態が続くと、細い血管や神経に障害が生じやすくなり、視力低下や腎機能低下、しびれなどの合併症につながります。長期的には動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中のリスクも高まります。
網膜症
視力低下・出血・失明の原因に。定期的な眼科受診で早期発見を。
腎症
蛋白尿から進行し、重症化で透析が必要に。尿検査・血液検査でのフォローが重要。
神経障害
しびれ・感覚鈍麻・疼痛など。足の観察・フットケアを習慣に。
動脈硬化(心筋梗塞・脳卒中)
血糖だけでなく、血圧・脂質管理と禁煙が鍵。
予防のポイント
- ✔ 目標範囲内の血糖を維持(自己測定/CGMの活用)
- ✔ 血圧・脂質も同時にコントロール
- ✔ 眼科・腎機能・神経の定期チェック
- ✔ 足の観察とフットケア(靴・爪・皮膚の管理)
- ✔ 禁煙・適度な運動・適正体重の維持
周囲の理解とサポート
1型糖尿病は見た目ではわからないため、周囲の理解が得られにくいことがあります。低血糖で体調が急変することもあるため、家族や友人、職場・学校の人に病気について簡単に伝えておくことが安心です。
また、医療機関や自治体のサポート、患者会の活用も有効です。同じ病気を持つ人との情報交換は、精神的な支えにもなります。
まとめ
- ✔ 1型糖尿病は生活習慣に関係なく、年齢を問わず発症する自己免疫性の糖尿病
- ✔ 急な体重減少や強い喉の渇き、多尿などは受診のサイン
- ✔ 治療はインスリン補充と日々の血糖管理が基本
- ✔ 適切な管理で、学校・仕事・スポーツも十分可能
- ✔ 周囲の理解と継続的なサポートが、長期的な健康維持の鍵
当院では血糖値やHbA1cの測定、生活習慣に関するのご相談、インスリン療法に関するサポートなどを行っています。体調の変化が気になる方やご家族の症状が心配な方は、まずはお気軽にご相談ください。
院長紹介
医療法人グッドライフグループ/グッドライフクリニック西町南
理事長/院長 野呂昇平(のろしょうへい)
旭川医科大学卒業
- 日本救急医学会 救急科専門医
- 日本産業衛生学会 産業衛生専攻医
- 日本脳神経外科学会 専門医
- 日本脳神経血管内治療学会 専門医
- 日本脳卒中学会 専門医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- 日本医師会認定産業医
- 健康運動指導士
- JATEC インストラクター
- ICLS認定インストラクター

ご挨拶
グッドライフクリニック西町南の野呂昇平と申します。
脳神経外科医として多くの手術症例や研究を経て、救急科専門医として札幌孝仁会記念病院(旧北海道大野記念病院)で西区や手稲区を中心に救急症例を診てきました。
2021年8月に現在の西町南に生活習慣病や在宅医療を中心に行う「グッドライフクリニック西町南」を開業。
2024年4月より医療法人グッドライフグループを設立。同時にクリニックの拡張工事を行い、生活習慣病や肥満外来以外にも新たに一般内科や通所リハビリテーション機能を備えたクリニックとして体制を整えました。
当院の特徴
① 幅広い疾患への対応と札幌市でも少ない生活習慣病に特化した外来
外科医、救急医としての専門性を基盤にし、生活習慣病や緊急疾患に対する診療を数多く行ってきました。メディカルフィットネスを併設しており、運動と食事を中心に丁寧な外来診療を心掛けております。
電話かオンラインでの予約制のため、受付~会計まで30分以内を目標にスタッフ一同努力しております。
② 充実した在宅医療、自慢のスタッフ
当院では訪問診療だけではなく、訪問看護、訪問リハビリテーションを行っており、通院が困難な患者様に対して医療保険と介護保険を利用したサービスを提供しております。私自身も救急医として、通常の在宅医が困難な処置や急変時の対応を得意としております。
当院の在宅医療の最大の特徴は訪問リハビリテーションです。「脳卒中」「運動器」「心血管」を専門とする多くの理学療法士が所属しており、スタッフの自己研鑽によりほとんどが健康運動指導士や公認パーソナルトレーナーなどの資格を有しております。
③ 積極的な予防医学の実施
当院では一般的な健診はもちろんのこと、該当する方には、医師、保健師、管理栄養士による特定保健指導を行います。積極的支援の対象の方は、併設するメディカルフィットネスを利用し、運動食事プログラムを行います。
また産業医の活動の一環として、企業で生活習慣病を指摘された方の診察や保健指導、集団予防接種を積極的に行っております。
健康教育の普及のために地区センターへの講演会、健康運動教室も定期的に開催しております。
外来紹介
- 生活習慣病外来
- 肥満外来
- 小児肥満外来
- 睡眠時無呼吸外来
- 禁煙外来
- 頭痛外来
- アレルギー外来
- 各種ワクチン接種

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