目次 [非表示]
はじめに

健康診断で肝機能がいつも引っかかる

以前に比べて食事の量を減らしても体重が落ちず、少しずつ増えてきた

体調は悪くないけど、肝機能が悪いとどのような問題が起きるかわからない
健康診断の有所見者の多くがコレステロール系の数値異常か肝機能異常です。
肝機能異常の多くが脂肪肝に関連しているとされており、3か月以内の内科受診が勧められます。しかし受診する医療機関によっては、医師から「これくらいなら大丈夫!」とか「減量したら良くなるから」など具体的な説明がされないことがほとんどかと思います。医師も脂肪肝については大学の講義で学びますが、実際に超音波検査を行っていない医師も多く、数値のみでしか評価してません。
どのような食事、運動をすればよいのか、どれくらい減量したら改善が期待できるのかを、伝えなければ受診した方を困らせることになります
本日は「肝機能障害を引き起こす生活習慣病とその予防策とは?」をテーマにして解説します。ぜひ最後までご覧ください!
肝機能障害とは?その重要性とリスク
肝機能障害とは、肝臓の働きが低下し、老廃物の解毒や栄養の代謝が正常に行えなくなる状態を指します。肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、症状が現れる頃には病気が進行していることが多いため、早期の対策が重要です。
肝機能が低下すると、以下のようなリスクが生じます。
- 疲れやすさ・倦怠感
- 食欲不振や体重減少
- 皮膚や白目の黄ばみ(黄疸)
- 腹部の膨満感やむくみ
- 重症化すると肝硬変や肝がんのリスク増加
これらのリスクを回避するために、肝機能障害を引き起こす原因を理解し、適切な予防策を講じることが必要です。
肝機能障害と関連する病気
- 脂肪肝(NAFLD・NASH)
- 脂肪肝とは、肝細胞に過剰な脂肪が蓄積した状態を指します。特に 非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD) は、アルコールをあまり摂取しない人でも発症する脂肪肝で、食生活の乱れや運動不足、肥満などが原因とされています。
NAFLDが進行すると、一部の患者では 非アルコール性脂肪肝炎(NASH) に移行します。NASHになると肝臓に慢性的な炎症が起こり、線維化が進むことで 肝硬変 や 肝がん のリスクが高まります。

- 糖尿病との関係
- 糖尿病は 慢性的な高血糖状態 を特徴とする疾患であり、インスリンの働きが悪くなる「インスリン抵抗性」が進むことで、肝臓にも悪影響を及ぼします。
特に 2型糖尿病 の患者は 脂肪肝を合併しやすい ことが知られており、ある研究では糖尿病患者の 約50%が脂肪肝を持っている と報告されています。また、糖尿病が進行すると 肝線維化が進みやすくなる ため、NASHや肝硬変へのリスクが高まります。

- 高血圧による影響
- 高血圧は、血管に持続的な負荷をかけることで 動脈硬化を進行させる病気です。高血圧の状態が続くと、肝臓の血流が悪化し、酸素や栄養が十分に届かなくなるため、肝細胞がダメージを受けやすくなります。
さらに、高血圧は 肝硬変の悪化要因 の一つともされており、NASHや肝線維化が進んだ患者では 門脈圧亢進症 を引き起こすことがあります。

- 高脂血症(脂質異常症)との関係
- 高脂血症(脂質異常症)は、血中のコレステロールや中性脂肪が過剰になる状態を指します。脂肪の代謝を担う肝臓に大きな負担をかけ、結果として 脂肪肝を悪化させる要因 となります。
特に LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪の増加 は、肝細胞の機能低下を招くため、早めの対策が必要です。

- メタボリックシンドローム
- メタボリックシンドロームとは、肥満・糖尿病・高血圧・高脂血症が組み合わさった状態 を指します。これらのリスク因子が重なることで 肝機能障害の進行を加速させます。
特に 内臓脂肪の蓄積 は、NAFLDやNASHの進行を促し、肝硬変や肝がんのリスクを高めることが分かっています。

生活習慣病による肝機能障害を防ぐ方法
バランスの取れた食事を心がける
・野菜や果物を積極的に摂取
・魚や大豆食品を取り入れる
・過剰な糖質・脂質を避ける

適度な運動で肝機能を維持
・1日30分以上のウォーキング
・筋力トレーニングで基礎代謝を向上

アルコールと喫煙を控える
・アルコールは1日1杯まで
・禁煙で血流改善

ストレス管理と十分な睡眠
・ヨガや瞑想でストレス軽減
・7~8時間の睡眠を確保

定期的な健康診断の重要性
・肝機能検査(AST・ALT・γ-GTP)のチェック
・早期発見が予防の鍵

肝機能を回復・改善するための食事とサプリメント
肝臓に良い食品と栄養素
- ウコン(クルクミン)
- 大豆製品(イソフラボン)
- 緑黄色野菜(抗酸化作用)
避けるべき食品・添加物・飲み物
- 加工食品・ファストフード
- 糖分の多い飲料
肝機能をサポートすると期待されているサプリメント
- オルニチン(シジミ由来)
- ミルクシスル(シリマリン)
肝機能障害を防ぐための総合的な生活習慣改善
肝機能障害を防ぐには、 食事・運動・睡眠のバランスを整え、ストレス管理を意識し、定期的な健康診断を受ける ことが重要です。
食事の改善
- 肝臓に負担をかけるアルコールや脂質の多い食品を控え、抗酸化作用のあるビタミン豊富な野菜や果物を積極的に摂取しましょう。
特に 大豆製品(納豆・豆腐)、青魚、オリーブオイル などは肝機能を助ける食品として知られています。
また、水分をしっかりとることで、老廃物の排出を促すことも大切です。
適度な運動
- 運動不足は脂肪肝のリスクを高めるため、 ウォーキングや軽い筋トレなどを習慣化 しましょう。
有酸素運動は脂肪の燃焼を促し、筋トレは基礎代謝を上げるため、どちらも肝臓の健康維持に効果的です。
質の良い睡眠
- 睡眠中は肝臓の修復が進む時間です。寝不足が続くと、肝機能が低下しやすくなります。
就寝1時間前にはスマホを控え、リラックスした状態で眠ることを意識 しましょう。
ストレス管理
- 過剰なストレスはホルモンバランスを乱し、肝臓に負担をかけることがあります。
趣味の時間を持ったり、適度に休息を取ることで、精神的な健康も保ちましょう。
定期的な健康診断
- 肝機能の異常は自覚しにくいため、 年に1回は健康診断でAST(GOT)・ALT(GPT)・γ-GTPの数値を確認 することが大切です。
一度健康診断で異常を指摘された場合は、生活習慣病に強い医療機関を受診してください!
まとめ:肝機能を守るために今日からできること
肝機能障害を防ぐためには、 バランスの取れた食事、適度な運動、アルコール・喫煙の制限、ストレス管理、健康診断の受診 が欠かせません。肝臓は自覚症状が出にくい臓器だからこそ、日々の習慣を見直し、健康的な生活を送ることが重要です。
【当院について】
当院は患者さんの内科的治療はもちろんのこと、病気にならないようにする、処方だけに頼らない「予防医学」に注力したクリニックです。
併設したメディカルフィットネスジムと協力して、診察以外の時間も患者さん、利用者さんに付き添い、日常生活に溶け込んだ医療を提供します。
〜外来紹介〜
・生活習慣病外来
・肥満外来
・睡眠時無呼吸外来
・禁煙外来
・頭痛外来
・アレルギー外来
・各種ワクチン接種

【医師紹介】 野呂 昇平
【各種資格】
・救急科専門医
・産業衛生専攻医
・脳神経外科専門医
・脳卒中専門医
・脳血管内治療専門医
・日本医師会認定健康スポーツ医
・産業医
・健康運動指導士
・公認パーソナルトレーナー(NSCA-CSCS/CPT)
〜予約について〜
当クリニックは完全予約制です。下記ボタンより予約可能となっております。