めまい=脳の病気(脳卒中)と考えている方が非常に多いですが、ほとんどが耳が原因で起こるめまいと言われております。脳神経外科の外来に来ることが多いですが、話を聞いていると「数日前から耳が痛かった」「1週間前から左耳で音が聞こえにくい」「黙っていると大丈夫だけど、左を向くとめまいがする」などの訴えがあります。明らかに耳が原因のめまいでも、本人や家族は「脳の病気が心配」「脳の病気に違いない!」と言って脳のMRI検査をする場面も多いのが現状です。
今回は「突然のめまいは脳卒中のサイン?脳神経外科医が教える危険なめまいの見分け方」をテーマに記事を作成しました。ぜひ最後までご覧ください!
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突然のめまいは脳卒中の可能性がある?
めまいの種類と原因
めまいは、日常的に多くの人が経験する症状ですが、その原因はさまざまです。一般的に、めまいは以下の3つのタイプに分類されます。
- 回転性めまい(グルグル回る感じ)
- 内耳の異常(良性発作性頭位めまい症など)が主な原因
- 脳幹や小脳の障害(脳卒中など)が原因の場合も
- 浮動性めまい(フラフラする感じ)
- 貧血、低血圧、自律神経失調などが原因
- 小脳や前庭系の異常による可能性も
- 前失神性めまい(意識が遠のく感じ)
- 心臓病、不整脈、低血糖などが関与
多くのめまいは良性のものですが、脳卒中のサインとして現れる場合もあるため注意が必要です。
脳卒中が原因のめまいとは
脳卒中には、脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の3つの種類があります。このうち、小脳や脳幹に障害が生じると、めまいが主症状として現れることがあります。理由としては、小脳は平衡感覚や歩行に関わるため、強いめまいになることが多く、脳幹については眼球運動に関わるため、普段通りものをみることができなくなり、めまいとなります。
特に、以下のような症状を伴う場合は要注意です。
- 突然の強いめまいとともに、歩行が困難になる
- めまいと同時に手足のしびれ、ろれつが回らない
- 意識がぼんやりする、または一時的に意識を失う
脳卒中によるめまいの危険サイン
脳卒中の典型的な症状とめまいの違い
脳卒中が原因のめまいは、一般的な内耳性めまいとは異なり、次のような特徴があります。
症状 | 内耳性めまい | 脳卒中によるめまい |
持続時間 | 数秒~数分 | 数十分~数時間 |
吐き気・嘔吐 | あり | あり |
手足のしびれ・麻痺 | なし | あり |
ろれつが回らない | なし | あり |
片側の視野障害 | なし | あり |
FASTチェックで脳卒中を見抜く
脳卒中の診断には「FASTチェック」が有効です。
- F(Face:顔の麻痺) → 片側の顔が下がる
- A(Arm:腕の麻痺) → 片腕が上がらない
- S(Speech:言葉の異常) → ろれつが回らない
- T(Time:発症時間) → すぐに救急車を!
これらの症状が少しでも見られたら、直ちに救急車を呼びましょう。
めまいを引き起こす病気
めまいを引き起こす病気は、大きく分けて次の3つに分類されます。
① 内耳性(耳が原因のめまい)
内耳(耳の奥のバランスを司る器官)の異常が原因です。
- 良性発作性頭位めまい症(BPPV)
頭を動かしたときに数秒から数十秒の回転性のめまいを起こす。
- メニエール病
数時間続く回転性のめまい、耳鳴り、難聴、耳閉感などが特徴。
- 前庭神経炎
突然強い回転性のめまいが起こり、吐き気や嘔吐が伴うことが多い。
② 中枢性(脳が原因のめまい)
脳や脳幹の血流障害や神経疾患が原因です。
- 脳梗塞・脳出血(特に脳幹や小脳)
突然強いめまいが起こり、手足の麻痺や言語障害を伴う場合がある。
- 小脳梗塞・出血
めまいに加え、ふらつきやバランス障害、歩行困難を引き起こす。
- 脳腫瘍
徐々に進行するめまい、頭痛、吐き気などが現れることが多い。
③ 全身性・その他(全身の病気やその他が原因のめまい)
身体全体の病気や心因性、薬剤などが原因です。
- 起立性低血圧
急に立ち上がったときに一時的なめまいやふらつきを感じる。
- 貧血
慢性的にふらつきや倦怠感を伴うめまいを起こす。
- 心因性めまい(ストレス、不安)
特定の状況下で起こり、不安感や動悸を伴うことが多い。
- 薬剤性
血圧を下げる薬や抗不安薬などの副作用でめまいが起こることがある。
めまいの原因は多岐にわたるため、持続時間、めまいの性質、他の症状を考慮して正しく診断することが大切です。
めまいが続く・繰り返す場合に考えられる病気
良性発作性頭位めまい症(BPPV)との違い
BPPVは、特定の頭の動きでめまいが誘発され、短時間で治まるのが特徴です。脳卒中との違いは以下の通りです。
特徴 | BPPV | 脳卒中 |
めまいの持続時間 | 数秒~1分 | 数十分~数時間 |
手足の麻痺 | なし | あり |
頭の位置で変化 | あり | なし |
メニエール病や前庭神経炎の可能性
メニエール病は耳鳴り・難聴を伴うのが特徴で、前庭神経炎は激しいめまいが数日続くことがあります。
危険なめまいを感じたらどうすればいい?
すぐに病院へ行くべき症状
以下の症状がある場合は、すぐに病院へ行きましょう。
- 突然の強いめまいとともに、手足のしびれ
- 言葉がうまく話せない、視界が二重になる
- 強い頭痛を伴う
救急受診と専門医への相談のタイミング
FASTチェックに当てはまる場合は迷わず救急車を呼びましょう。軽い症状でも気になる場合は脳神経外科を受診するのが安全です。
まとめ:めまいと脳卒中の関係を正しく理解しよう
突然のめまいは、多くの場合は良性ですが、脳卒中の初期症状である可能性もあります。特に、手足のしびれ・ろれつが回らない・片側の視力低下を伴う場合は危険信号です。
早期発見・早期治療が何より重要です。めまいを軽視せず、適切な医療機関を受診しましょう!
当院について
当院は患者さんの内科的治療はもちろんのこと、病気にならないようにする、処方だけに頼らない「予防医学」に注力したクリニックです。併設したメディカルフィットネスジムと協力して、診察以外の時間も患者さん、利用者さんに付き添い、日常生活に溶け込んだ医療を提供します。
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