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はじめに
近年、SNSや口コミサイトで「肥満外来は意味ない」「どうせ痩せられない」「薬をもらうだけ」といった声を目にする機会が増えています。 また、「自己管理できない人のための甘え」といった偏見も根強くあります。
こうした意見は、一部の経験やイメージに基づくものであり、肥満症という“病気”に対する理解不足から来ているケースが少なくありません。
確かに、数回通っても体重が変わらなければ「意味がない」と感じてしまう気持ちは理解できます。 しかし、それは「治療としての肥満外来」を正しく理解し、継続的に取り組んだ結果の評価ではないのです。
今回は『「肥満外来は意味ない」は本当?医師が語る誤解と治療の真実』をテーマに記事を作成しました。ぜひ最後までご覧ください!
肥満は病気という事実
日本肥満学会によれば、BMIが25以上で生活習慣病などの健康リスクを伴う状態は「肥満症」と定義されています。これは単なる体型の問題ではなく、糖尿病・高血圧・脂質異常症・睡眠時無呼吸症候群などの合併症を引き起こす可能性がある重大な疾患です。
医療の現場では、こうしたリスクを予防・改善するために肥満症を専門的に治療する必要があります。自己流のダイエットでリバウンドを繰り返すことこそ、身体に負担をかける行為なのです。
肥満症は慢性疾患であり、高血圧や糖尿病と同じように、継続的な管理が必要です。その管理の一つの方法として、肥満外来が存在します。
肥満外来で行われる治療内容とは?
医師による診断と合併症の評価
患者さんの生活背景、既往歴、体組成、血液検査などを基に、医師が個別に対応します。
保健師/栄養士による食事指導
無理な食事制限ではなく、「日常生活に無理なく取り入れられる改善」が中心です。
運動療法
習慣を見直す心理的アプローチや、効果的で継続しやすい運動法を提案します。
必要に応じて薬物療法
漢方薬、食欲抑制薬(サノレックス)、脂肪肝改善薬なども適応を見極めた上で使用します。
このように、肥満外来は「ただ痩せさせる場所」ではなく、「健康を回復させる場所」とも言えます。
肥満外来=ダイエット外来ではない!
最近自由診療で行っている肥満外来を「ダイエット外来」という医療機関があります。同じような意味合いで使われる言葉ですが、決定的に違う点があります。
肥満外来は「肥満症の方を治療する外来」 ですが、 ダイエット外来は「減量させるための外来」 です。
当院には、そうした自由診療を受けた後に不安を感じ、セカンドオピニオンとして受診された患者さんもいらっしゃいます。中には、標準体型またはやせ型の方が、十分な検査を受けずに糖尿病治療薬を複数処方されたというご相談もありました。その結果、低血糖のような体調不良を訴えた方が当院を訪れた例もございます。もちろん、すべての医療機関がこのような対応をしているわけではありませんが、治療を受ける際には、医師の説明や診療内容が適切であるか、ご自身でもよく確認することが大切です。
すべての医療機関がこのような治療を行っているわけではないですが、肥満症以外も対象としているダイエット外来での治療は薬の治療に頼った一時的なものであり、ずっと理想的な体形を保てるものではございません。オンライン診察だけではわからない情報も多くあるので、初診からオンライン診療のみで糖尿病治療薬の処方を受けることはやめてください。最終的には食事と運動による減量や体形維持が必要になります。
なぜ「効果がない」と感じるのか
「肥満外来は意味ない」と言われる主な原因は以下の3つです。
-
即効性を期待しすぎている
ダイエットは数ヶ月単位の変化を要するもの。2週間や1ヶ月で結果を求めるのは現実的ではありません。 -
通院頻度や継続性が足りない
治療は“継続”が鍵です。1〜2回の通院で効果が出なかったからといって、「意味がない」と判断するのは早計です。 -
自己管理とサポートの誤解
肥満外来は、自己管理のための「支援の場」です。医師は患者さん自身の行動変容を支える立場であり、治療は二人三脚で進めていくものです。
実際に、適切な指導と継続的な通院で、10kg以上の減量を達成し、糖尿病が改善したケースもあります。「意味がない」という言葉の裏には、「期待通りにいかなかった個人の事情」があるのです。
医師としての見解と患者さんへのメッセージ
医師として、私が最も伝えたいのは、肥満症はれっきとした病気であり、正しい知識とサポートのもとに治療を行えば、改善可能だということです。
「意味がない」と一言で片付けてしまう前に、自分の体の状態を知り、正しい医療の力を借りるという選択をしてほしいと思います。
肥満外来は、結果を出すための“伴走者”です。私たちは、ただ痩せるためでなく、健康的な人生を取り戻すためのパートナーとして、患者さん一人ひとりと向き合っています。
まとめ
肥満症は、糖尿病・高血圧・脂質異常症などさまざまな生活習慣病と関わる「病気」です。「肥満外来は意味ない」といった声の多くは、正しい理解や継続的な治療が十分に行われていないことに起因しています。
肥満外来では、次のような取り組みを通じて健康改善をサポートします:
- ✔ 医師による診断と生活習慣の評価
- ✔ 栄養指導・運動療法など多角的なサポート
- ✔ 必要に応じた薬物療法やメンタル面の支援
「自分に合った方法」 で 「継続して取り組む」 ことが、健康な体と人生を取り戻す一歩です。まずはご自身の状態を知り、医療の力を味方につけてください。
当院について
当院は患者さんの内科的治療はもちろんのこと、病気にならないようにする、処方だけに頼らない「予防医学」に注力したクリニックです。併設したメディカルフィットネスジムと協力して、診察以外の時間も患者さん、利用者さんに付き添い、日常生活に溶け込んだ医療を提供します。
医師紹介

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