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糖尿病とは?なぜ検査が重要なのか
糖尿病は血糖値の慢性的な上昇が特徴の代謝疾患で、日本では年々患者数が増加しています。厚生労働省の最新統計では、糖尿病が強く疑われる人は約1,000万人、予備軍も含めるとその数は2,000万人に迫る勢いです。
糖尿病が怖いのは、初期段階では自覚症状がほとんどないことです。喉の渇きや頻尿、疲れやすさなど、初期には見過ごされがちな体の変化がみられ、気づいたときには合併症(網膜症、腎症、神経障害)が進行しているケースも少なくありません。
そのため、定期的な検査によって早期に異常を発見し、生活習慣の改善や治療を開始することが極めて重要です。
こんな方は特に検査を!
- 🔹 40代以上の方
- 🔹 肥満傾向(BMI25以上)
- 🔹 家族に糖尿病の人がいる
- 🔹 健康診断で血糖異常を指摘された
糖尿病の検査方法|医療機関で行う主要な検査
糖尿病の診断には、複数の検査を組み合わせて行います。以下は代表的な検査です。
空腹時血糖値
8時間以上絶食した状態で採血し、血糖値を測定します。
- ▶ 基準値:70〜109 mg/dL
- ▶ 糖尿病疑い:126 mg/dL以上
HbA1c(ヘモグロビンA1c)
過去1〜2か月の平均血糖値を反映する検査。食事の影響を受けにくいのが特長です。
- ▶ 糖尿病診断基準:6.5%以上
- ▶ HbA1cが5.6%以上でBMIが25以上の方は、生活習慣の見直しが推奨されます
75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)
糖分を含む飲料を飲み、時間を追って血糖の変化を測定。早期発見に有効です。
- ▶ 食後2時間血糖値が200mg/dL以上で糖尿病と判断されます
随時血糖
時間に関係なく採血する方法。参考値として使用されますが、診断には補助的な位置づけです。
これらの検査は一回で完結するものもあれば、数回に分けて行うものもあります。医療機関では症状やリスク因子に応じて、適切な検査が選ばれます。
自宅でもできる?簡易検査とその注意点
最近では、自宅で簡単にできる血糖値測定キットやHbA1c測定キットも販売されています。郵送検査も含めて、手軽に始められるというメリットがありますが、いくつか注意点もあります。
◎ メリット
- 医療機関に行かず、自宅で気軽に検査できる
- 忙しい人でも時間を選ばず利用できる
- 定期的な経過観察にも役立つ
× デメリット
- 精度は医療機関の検査より劣る場合がある
- 空腹時などの検査条件を自分で管理する必要がある
- 異常が出た場合は必ず医療機関で再検査が必要
このように、自宅検査は「健康意識の高い人のスクリーニング用途」として有用ですが、
診断や治療方針の決定には、必ず医療機関での診察・検査を受けることが大切です。
糖尿病予備軍を早期に発見するための検査タイミングと頻度
糖尿病は進行性の病気ですが、予備軍の段階で発見すれば、生活習慣の改善だけで進行を防ぐことも可能です。自覚症状がなくても、定期的な検査が大きな鍵となります。
一般的な検査スケジュールの目安
一般成人(40歳以上):年1回の健康診断+血液検査(空腹時血糖・HbA1c)
高リスク者(肥満・家族歴・高血圧・脂質異常):半年〜1年ごとの検査
状況に応じて:75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の追加実施
妊娠中の検査にも注意を
女性の場合、特に35歳以上の初産婦は「妊娠糖尿病」のリスクが高まるため、妊娠中期にスクリーニング検査を受けることが重要です。将来の糖尿病予防にもつながります。
このように、予備軍の段階で異常に気づくことが、将来の健康を大きく左右します。
「まだ大丈夫」と思わず、今の生活習慣を見直すきっかけとして検査を活用しましょう。
医師の視点で見る検査の活用法と患者へのアドバイス
開業医として診療していると、「もっと早く検査をしていれば…」と感じる場面によく出会います。糖尿病は進行性の慢性疾患であり、初期に手を打つことでその後の生活の質を大きく守ることができます。
私たちのクリニックでは、患者さん一人ひとりの生活スタイルやお仕事の状況に応じて、無理なく定期検査が続けられるようなプランを一緒に考えるよう心がけています。
🩺 アドバイス
- 健康診断の結果に「要精密検査」と書かれていたら、必ず受診を
- 生活習慣の見直しを始めるタイミングは「今」が最適
- 検査結果は「怖いもの」ではなく「未来を守るための情報」として受け止めてください
糖尿病の検査は単なる数値のチェックではなく、人生の質(QOL)を守るための第一歩です。
早期発見・早期対策こそが、未来の健康につながります。
まとめ
糖尿病は、初期にはほとんど自覚症状がなく進行するため、定期的な検査が早期発見と予防の鍵となります。空腹時血糖値やHbA1c、OGTTなどを組み合わせることで、より正確な診断が可能です。
最近では自宅での簡易検査も普及していますが、異常値が出た場合は必ず医療機関を受診しましょう。予備軍の段階で気づき、生活習慣を見直すことで、将来の健康を守ることができます。
糖尿病検査は「病気を見つけるもの」ではなく、未来の自分を守るための手段。
少しでも不安がある方は、ぜひ一度検査を受けてみてください。
当院について
当院は患者さんの内科的治療はもちろんのこと、病気にならないようにする、処方だけに頼らない「予防医学」に注力したクリニックです。併設したメディカルフィットネスジムと協力して、診察以外の時間も患者さん、利用者さんに付き添い、日常生活に溶け込んだ医療を提供します。
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