糖尿病と血糖値の基本理解
日本国内における糖尿病の患者数は年々増加傾向にあり、国民病とも呼ばれるほど身近な病気となっています。 糖尿病の最大の特徴は「血糖値」が慢性的に高くなることで、それにより全身の血管や神経にさまざまな合併症が起こる点です。
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度を示す指標であり、 食事や運動、ストレス、睡眠など、私たちの生活習慣と密接に関わっています。
本記事では、糖尿病と血糖値の基本的な関係から、予防・治療法までを医師の視点からわかりやすく解説します。 糖尿病を正しく理解することで、日常生活の中での予防や早期対策が可能になります。
糖尿病の種類とその原因
糖尿病は大きく分けて以下の3つのタイプに分類されます。
1型糖尿病
膵臓のβ細胞が自己免疫反応により破壊され、インスリンがほとんど分泌されなくなるタイプ。主に小児~若年者に多く、原因ははっきりしていません。
2型糖尿病
生活習慣(食べ過ぎ、運動不足、肥満など)や遺伝的要因が複合して起こるタイプ。日本人の糖尿病患者の9割以上がこれに該当します。インスリンの分泌不足や効きが悪くなる「インスリン抵抗性」が関与しています。
妊娠糖尿病・その他の糖尿病
妊娠中に初めて血糖値が高くなる妊娠糖尿病や、ステロイド薬の副作用、膵臓の疾患による糖尿病なども存在します。
糖尿病の根本的な原因の多くは、現代人のライフスタイルにあります。特に2型糖尿病では、栄養バランスの悪い食生活や運動不足が直接的な原因となり、長年にわたる不適切な習慣が血糖の慢性的な上昇につながります。
血糖値の基準と変動要因
血糖値は「空腹時」と「食後」によって大きく異なります。
空腹時血糖値:70~109mg/dL
食後2時間血糖値:140mg/dL未満
これを超える数値が続く場合、糖尿病やその予備軍である可能性が高くなります。
血糖値は、以下の要因で変動します
- ✓ 食事内容(特に糖質量)
- ✓ 運動習慣
- ✓ ストレスや睡眠不足
- ✓ アルコール・喫煙
- ✓ 服薬・持病の有無
白米やパン、ジュースなどの高GI食品 を多く摂取すると急激に血糖値が上昇しやすくなります。一方で、 食物繊維が豊富な野菜や低GI食品を先に食べる「食べ順ダイエット」 などは血糖コントロールに有効です。
また、血糖値は精神的ストレスや睡眠の質にも影響を受けます。睡眠不足や慢性的なストレスがインスリンの働きを妨げ、血糖コントロールを乱すことが知られています。
糖尿病予防・治療における血糖管理の重要性
糖尿病が恐れられる最大の理由は、合併症のリスクにあります。高血糖が長期間続くことで、以下のような重大な疾患を引き起こすリスクが高まります。
- ⚠ 網膜症(失明のリスク)
- ⚠ 腎症(人工透析が必要になる場合も)
- ⚠ 神経障害(手足のしびれ、壊疽)
- ⚠ 動脈硬化(心筋梗塞や脳梗塞)
これらは「糖尿病の三大合併症」と呼ばれ、血糖値の管理が不十分な場合に顕著に発症リスクが上昇します。
血糖管理の基本は、以下の3本柱です
- ① 食事療法:低GI食品の活用、カロリー制限、栄養バランスの見直し
- ② 運動療法:ウォーキングや有酸素運動でインスリン感受性を高める
- ③ 薬物療法:経口薬やインスリン注射など医師による適切な治療
また、近年は血糖値を24時間モニタリングできる「CGM(持続血糖測定器)」や、食後高血糖の予防に効果的なGLP-1受容体作動薬など、近年では医師の判断により適応される治療薬も登場しており、治療の選択肢が広がってきています。
生活習慣の改善と医療的アプローチ
糖尿病治療において、最も基本でありながら難しいのが「生活習慣の改善」です。特に以下の点が重要です。
- 🍽️ 規則正しい食事(1日3食)
- 🌞 朝食の欠食を避ける
- 🔢 1回の食事での糖質摂取量に注意
- 🚶♂️ 週に3回以上の有酸素運動
- ⚖️ 適正体重の維持
加えて、医師の定期的な診察を受け、HbA1c(過去1~2か月の平均血糖値)の測定を継続的に行うことが大切です。
医師の立場から強調したいのは、「血糖値がやや高い状態では、多くの場合自覚症状が乏しいとされている」という点です。 そのため、気づかないうちに進行し、合併症が出て初めて受診される方も少なくありません。 40歳を過ぎたら年に一度は健康診断や血糖測定を受ける習慣を持ちましょう。
まとめ
糖尿病と血糖値の関係を正しく理解することは、健康的な人生を送るための第一歩です。 糖尿病は初期には自覚症状が少ないものの、適切な生活習慣と医療介入によって進行を抑えることが期待されています。
定期的な検診、食事・運動の見直し、そして何より 「自分の体に関心を持つこと」 が大切です。
当院について
当院は患者さんの内科的治療はもちろんのこと、病気にならないようにする、処方だけに頼らない「予防医学」に注力したクリニックです。併設したメディカルフィットネスジムと協力して、診察以外の時間も患者さん、利用者さんに付き添い、日常生活に溶け込んだ医療を提供します。
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